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29 Monadnockの住人

29 Monadnock は私の家だ。1880年に建てられたこの家はちょっとぼろくてお化け屋敷チックで風格があってなかなか気にいっている。 ビクトリアマンション、クイーン アン建築形式で建てられているそうで、入るとすぐに大きなグランドステアケース(2階に吹き抜けの階段)があり、両脇には暖炉付きのパーラーがある。お手伝いさん用と住人用に階段が分けて作られているところも当時の時代を感じさせてなかなか面白い(お手伝いさん用の階段はキッチン直結の狭い粗末な階段)。そしてなんといっても広い。ベッドルーム7部屋、パーラー2部屋、ダイニングルーム1、書斎2、ダイニングキッチン1、バルコニーは3カ所にある。グランドステアケースのところにあるステンドグラスもしゃれている。

この家の主はボブという60代のおじさん/おじいさんで(サンタクロースにちょっと似ていて、白髪でチョビ顎髭をつけたアブラハムリンカーンっぽい風格なのでおじいさんのほうがしっくりくる)40年前に廃墟だったこの家を50万で買ったそうだ。 ボブはアイビーリーグ卒業コロンビア大学院電気工学のエリートだが敬虔なカトリック教徒でもあり、ある日仕事をやめ、この地域のNPOで地域復興に生涯をかける事に決めたそうだ。年のせいか頑固でちょっと陰気な所もあるが社会派でこの辺のちょっとした生き字引だ。

私はこの家の3階のロフトにすんでいる。賃貸形式は間借りだ。ボブの性格上、この家の入居者は「この地域に興味にある人。この地域復興のため働いている人/働きたい人。」だ。 私は写真家なので『この地域に興味があってこの地域で写真が撮りたい人。」として入居した。治安があまり良いエリアではないので「この地域にすみたい人」がたくさんいるわけではなく、入居人はまばらな時もあるが、かわりに歴代入居人も含めカラフルな人たちが多くて楽しい。

今の私の同居人はクリスチャンミッショナリーだ。彼らはそろって若く、大学を卒業したばかりか、大学院生で、家から歩いて5分の教会に通い、教会活動に燃えている。私はクリスチャンホームの出なのだが、アメリカにきてから個人レベルにおいて宗教というものが得意ではなくなってしまった。しかし同時期に写真家としての宗教、信仰に対する好奇心が生まれてきたと思う。キリスト教原理主義カルト12 Tribes (名前の由来は旧約聖書のイスラエル12部族から)の写真を撮ったのはそういうわけだったと思う。http://www.keikohiromi.com/twelve-tribes/ 私の同居人はけしてカルト信者ではないし、普通の敬虔なクリスチャンだ。ただ私がアメリカのユースクリスチャンサブカルチャーに久しく触れていなかったので、彼らは新しい驚きとふーんと思う瞬間などを楽しく毎日もたらしてくれる。

29Monadnock